山陰の輝く人物にインタビュー
山陰の元気人

山陰で頑張る人を取材し、紹介しています。



連載
島根県出身の絵本作家

景山真貴(かげやま まき)さん

(VOL.29)


島根県出身の絵本作家、景山真貴さん。現在東京で精力的に活動をされる景山さんですが、絵本作家に至った過程、自身の作品観など幼少時代にまで掘り下げて語っていただきました。

【プロフィール】
景山真貴(かげやま まき)。島根県生まれ。
山脇美術専門学院に学びイラストを描きはじめる。卒業後ポストカードなどを制作。絵本は「ジーくんとバケツたんけんたい」(岩崎書店)が初めての作品となる。

【お問い合わせ先】
有限会社ミヤチ
〒104-0061 東京都中央区銀座2-11-6 竹田ビル203
TEL 03-3524-4760 FAX 03-3524-4761
HP http://www2u.biglobe.ne.jp/~kagemaru/
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景山真貴(かげやま まき)さん
絵本との再会

 子供の頃に読んだ本を再度読むようになったのは24才の頃からです。 中学校までは島根県と広島県との境にある山の中の小さな町で育ちました。今住んでいるところと比べると本屋さんやお店もなかなかないところでしたが、幸い実家には絵本や童話の本がたくさんあり、自然と本を読む機会が多かった様な気がします。中学校に入ってからは自然と子どもの本から離れるようになり、小説や漫画を読んでいました。

 ある日、本屋さんの店頭で見覚えのある表紙が目に入り、突然子供の頃読んだ感触が戻ってきたことにとてもびっくりしています。
 その時見つけた本は、福音館書店の 『いちごばたけのちいさなおばあさん』という絵本で、いちご畑の地下に住むおばあさんが、苺に青い実がついたら、地下の家で赤い色をつくって苺に色をぬるお仕事をするというお話でした。 地下の家が、アリの巣のようにあちこちと、石をほる部屋やストーブのある部屋、 水を集める部屋、地下水を汲みに行く階段などにつながっていたりして とても好きでした。

 地下のそういうような家みたいなものは、何となく面白く思っていたようで、子どもの頃、何か図鑑でアリの巣穴のイラストをみて、本当にたまごの部屋や食べ物がしまってある部屋なんかがあるのを実際に目でみたくて、アリが出入りしている穴をみつけると、穴のまわりを掘って(壊して?!)しまっていました・・・。


景山真貴さん作絵。『ジーくんとバケツたんけんたい』。(写真クリックで拡大表示)

(写真クリックで拡大表示)
きっかけは意外なところから

 絵本を作るきっかけになったのは専門学校に通っていたときで、26才の頃です。当時くじらが女の子と子豚をのせて空にぬっとあらわれたところを、町の人達がびっくりして見上げているようなイラストを描いたことでした。

 その頃、ご縁をもてた方を通じていろいろな方に見て頂く機会があり、 たまたまその会場で見てくださった編集者の方が、そのくじらがあらわれた村を舞台にして 一緒に絵本を作ろうと言って下さいました。
 そのときは絵本を作るということは全く思ってもいなく、いろんなイラストを描く事だけで精一杯だったので、絵本を作ることが目の前に、”ぽんっ”とあらわれたような感じでした。今思うと本当に有り難くて、幸運なことだったなと思います。

 しかし作り始めてみるととても難しく、普段絵をかくときもあまりお話のようなものを考えないで書いていましたので、いざ絵本を作る段階になっても話を考える事がなかなかうまくいきませんでした。
 途中絵本作りを止めていたような時期もあり、やっと進み始めたのが制作着手から1年半くらい経ってからでした。東京から島根の実家に戻り作業をしてたのですが、家の回りを歩いたりしゃがんだりしていると、学校からの帰り道、毎日のように、今日はこっちの道から、今日はこっちを通ってと、薮の中の道ともいえないようなところを通ったりしながら帰っていたことを思い出したりしました。

個展
写真のまん中にあるくじらのイラストが、 くじら村の絵本のきっかけになったイラストです。
個展
変わらずに昔からずっとあるもの

 絵本ができあがり改めて読み返してみると、うまくできなかったところや恥ずかしいと思うところもあります。しかしその中にイラストを描きはじめてからの4年間に蓄積されてきたもの、影響を受けたもの以上に、子ども時代に意識せず毎日みていたものや体がなんとなく覚えていたようなことが新たな色をつけてくれているということに気づきます。

 かきかけの絵本の絵を、地元の子どもたちや、先生方にみて頂いた時、『 どこか外国のようでもあるけれど、ここ(生まれ育ったところ)のようでも あるねえ』と言ってくださったとき、何だかとても嬉しかったです。

小学校
子どもの頃に通った小学校です。 今後閉校になるらしいのですが、 古い木造の校舎や、地域の大人の人達と一緒の学校行事など、 今私がかいているイラストの雰囲気は、子ども時代のことや、図書室で親しんだ 本の世界にとても影響を受けているような気がします。

くじら村の絵本原画展(2004年7月)

くじら村の絵本原画展くじら村の絵本原画展のときの写真です。 新中野にある、古い屋根裏部屋のような雰囲気のギャラリー無寸草さんで 展示をさせていただきました。 実家に蔵があって、子どもの頃、弟と一緒によく 入り込んでいたのですが、急な階段を上って行く感じや、 ぎしぎしする床や、はじめて無寸草さんに行ったとき とても懐かしくて、いつかこちらで展示ができたらなあと 思っておりました。

展示にはまだなかなか慣れなくて、いつも、 どんな風に展示したらいいか、よくわからないでいるようなんですが、 いろんなときにかいていただいた、 感想ノートは、読んでいると、かいてくださった人それぞれの 雰囲気をなんだか感じることができて、皆さんそれぞれに、いろんなお仕事や 毎日忙しくされている中で、少しの時間をそこにきて過ごしてくださったこと、 ずっとあとになってからも、読むと元気をいただくようです。
くじら村の絵本原画展くじら村の絵本原画展


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