山陰の輝く人物にインタビュー
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連載
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多胎児サークル「にこにこclub」育児支援対策担当者 石井宏美(いしい ひろみ)さん |
(VOL.28) |
「にこにこclub」は現在会員数70数名。東は岩美郡から西は松江市まで、多胎児サークルとして山陰では著名なサークルである。 石井さんはサークル活動のほか、フルタイムの仕事を持ち、双子ちゃんを含む4人の子どものお母さんでもある。忙しいはずなのに、出会うたびに何かしら新しいことをはじめていて・・・例えば今はロシア語を習っているんだとか・・・驚いてしまう。そして話を聞いているうちに、今度はこちらまで元気になってしまう。不思議な魅力のある方だ。 今回はそんな元気人・石井宏美さんをおたずねし、元気のモトを探りたいと思う。 |
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■「にこにこclub」に「卒業」はない | |
育児サークルというと、子どもが対象年齢を過ぎれば・・・たとえば就園・就学などで・・・、足が遠のくときく。子どもの年齢に応じ、代替わりしてゆくのが自然な姿であるらしい。 ところがこの「にこにこclub」についていえば、子どもが大きくなっても遠のかない。「卒業」はないのである。子どもの年齢に応じ、会長さんは代替わりするけれど、コアメンバーは固定しているという安心感がある。新しいひともさらりと受け入れる。なんだかうらやましくなるような風通しのよさである。 「双子を妊娠したことがわかってから、私が一番ほしかったもの。それは同じ双子をもったお母さん、それも自分よりちょっと先輩のママさんと出会って話をする機会、です」 「自分と同じような気持ちの方がいれば、いつかは、そういうお母さんたちのところへ行って話して励ましてあげることができたらいいな、と思っていました。そういう支援が一番基本だということもわかっていましたが、とにかく自分のところの双子に手がかかる間はなかなか動けないという現実がありました」 |
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■多胎児家庭訪問事業① | |
石井さんは「ちょっと先輩のママ」として「多胎児家庭訪問事業」を立ち上げ、「話して励ましてあげられたらいいな」と考えはじめていた。 「先輩ママ」ということで、実践的な身近なアドバイスができるだろう。「ちょっと」先輩、ということで、お互い言いたいことがいえる安心感もあるだろう。 実はこれが「にこにこclub」に「卒業」がないという、風通しのよさにつながる事業なのだけれど、石井さん本人は、はじめるまでにかなり長い時間をかけている。要するに迷っていたのである。決心がつくまでのいきさつを、石井さんは次のように語る。 「相談事業というのは責任がともなうこと。自分たちの発言が相手を追い詰めることになるかもしれない、そんな不安が先にたって、いいことだろうなあと思いつつなかなか踏み切れませんでした」 「そんな折、にこにこclubをずっと一緒にやってきた さんが、とってもいいアドバイスをくれたんですよ・・・人間、無視されるのが一番つらい。自分のために一生懸命考えて、言葉をつむいでくれるひとがいるっていうのは、もうそれ自体が喜びだと思う。だからつむぎだされた言葉が多少間違っていたって、それを責めるひとはいないし、当たり障りのない正しいアドバイスをされるよりは、よほど心にしみると思うよ・・・って」 「ああそうか、なるほどなあ。胸にストンと落ちるものがありました。また他県ですでにこんな活動をしている方からも、”訪問したお母さんからとっても喜ばれていて、やりがいのある仕事”、と聞かされていました。ようやく決心がつきました」 |
石井さんと元気すぎる双子。 「うちの双子も2年生になり、手がかかる、という意味での子育ての大変さはずいぶん減ってきました」 |
■多胎児家庭訪問事業② | |
石井さん達がはじめた「多胎児家庭訪問事業」は、2人一組で多胎児妊娠中・産後3年以内の家庭を訪問し、自分の体験に基づくこと、育児情報などについて話をする。有資格者ではなくあくまでも「ちょっと先輩のママ」というスタンス。無報酬のボランティア活動だ。 「にこにこclub」で協力者を募ったところ、「他のひとの役に立てるなら」と多くのお母さんが名乗りをあげてくれた。 「実は今本当にどきどきしています。この事業を成功させたい。家庭訪問先のお母さん達が来てもらってよかった、と言ってくださる日を楽しみに準備を進めていこうと思っています」(ごあいさつ「Hello」石井さんの文章より) 「多胎児家庭訪問事業」は、こうして順調にスタートした。 こうしたさまざまな子育て支援活動が評価され、過日「にこにこclub」は、キリン福祉財団の助成団体に選ばれている。 |
「にこにこclub」恒例、楽しいクリスマス会 |
■サークル活動がつづくための、そして元気でいるための・・・秘訣 | |
「参加するひとたちが、その活動にかかわることで価値を見出せるか、楽しいと思えるか。サークル活動が続くかどうかは、そこにかかっていると思います。参加するひとに楽しいと思ってもらえるように、そのためにまず、自分が楽しめることをしたいと思います」(石井さん) 自分が楽しみたい、自分が元気になりたい、と思っているだけでは・・・つまり自分のことだけでいっぱいという気持ちでいる間は・・・ひとはきっと、元気になれない。 自分も楽しむけれど、まずは他人を楽しませたい、他人のために何かをしたい、と思うことで力がわき、元気が出てくるのだ。 これはすなわち「子育て」にも通じるものではないか、と思う。 石井さんや「にこにこclub」のお母さんたちは、「子育て」においては人一倍の苦労を積んできた。双子を授かり実際の育児が大変なのはもちろん、「薬をつかっていたの?」といったぶしつけな質問をされるなど、傷つけられることも多いという。 石井さんたちは、人の何倍も苦労をし磨かれたからこそ、「他人のためにうごく」優しさがもてる。また、「他人のために動くことで自分が元気になれる」のだろうと感じた。 |
◆にこにこCLUB紹介ホームページ (参考サイト ふたごのママはてんやわんや) 連絡・問い合わせは 石井宏美さん(fax0859-35-6395) |
■これまで掲載してきた記事 |