立ち飲みワインのお店「O2」は足立さんの世界。二階スペースは和と洋がうまく折り合った空間となっている。
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店内には足立さんがセレクトした数々のワインが並ぶ。その隣にはワインの“立ちきゅう”「O2」がある。「チーズをつまみにちょっとワインを引っ掛けたり、試飲ができたり。そんな感覚でやってます。」ロフト風の二階には最高で15人ぐらいが入れるスペースも。
「ご近所の飲食店と契約して、ケータリングでのちょっとしたパーティーや、ワイン会ができますよ。結構使っていただいてますね。」丸みを帯びた天井はワイン樽をイメージしたものかと思いきや、実は純和風造り。山陰地方独特の造りである。
「実は、主人と結婚するまで、あまりお酒と縁がありませんでした。両親が飲まなかったこともあって、“晩酌”という習慣も無かったんですよ。」
お酒とほとんど縁の無かった足立さんが、何故ワインアドバイザーに?
「酒屋を営むご主人と結婚。しばらくして、勤めていた会社を退社後はお店を手伝っていました。店番をしていると、お客さんに色々と聞かれるんですよ。でも全然答えられなかった。決定的だったのは、あるラジオ取材のとき。
「これは何ですか?」と聞かれたんですが、答えられなかった。
“ロゼ”っていう種類さえ知らなかったんです。後で主人に叱られました。」と笑いながら当時を振り返る。
そんな時、“ワインアドバイザー”という資格があると知人から聞かされる。
「山陰で他にはいないと聞いたので、とりあえず飛びつきました。実際には1人いらっしゃったのですが、必死で勉強しましたね。」
93年に念願のワインアドバイザーを取得した足立さん。しかし、それが逆にプレッシャーになった。
「変に力が入っちゃって、(資格を)取った事を後悔した事もありました。結局、机上の勉強しかしてなかったんですよね。そんなときでした。タイミングよくフランスへ視察できる機会が出来て、2週間行って来ました。ワイン漬けになって、後半は辛かったんですが、ワインを“体験”することができました。」
その後、空前のワインブームの只中、NHK文化センターの講師になった足立さん。
昨年11月、パルメイト出雲で行われた「ワインの夕べ」でも講演。ボジョレーヌーボー解禁の日でもあって、大いに盛り上がった。(写真提供:パルメイト出雲)
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「当初は赤、白の違いなど、本当に初歩の初歩でした。ポリフェノールなどについても、今は当たり前ですが、当時はほとんどの方が知らなかったですね。」と振り返る。 「今では、基本知識を身に付けてらっしゃる方がとても多いです。」 文化センターでのワイン講座の他に、米子市内のレストランなどで、月一回のワイン会を開催している足立さん。
「ワイン会は自分が楽しむ場でもあります。何よりワインを通じて色々な人と出会える。ワイン好きな人は向上心の高い人が多いと思います。お会いする度にワインはもちろん、その方の環境までレベルアップしていることもありますよ。」最近では、米子以外のワイン会にも積極的に参加している。「あちこちで、色々な方とお会いするのも楽しいですね。」ワインを通じての出会いが、何よりも楽しいと語る足立さん。
そんな足立さんがいつも心掛ける事は、「いかに色々な人に楽しんでもらえるかを考えています。ワインに興味はあるけどなかなか入ってこられない人が、もう一歩踏み出せるような場所作り。例えば試飲の時などは、極端に種類や味の違うものを用意します。最初にはっきりとした違いを分かってもらう。そうすると特徴などが分かりますよね。そこからまたそれぞれの味の違いなどが分かると、自分の好みの味が見つかって、どんどんはまり込んでいくんです。最近では、私より詳しい人もいるんですよ。」
「個人的にはプルゴーニュが好きです。“開けてみないと分からない”的な魅力ですね。葡萄の種類や年代、生産国など、ワインの楽しみ方は無限大。お客様、一人一人に合ったアドバイスができればいいですね。」 |