山陰の輝く企業にインタビュー


連載


あなたは変われる!美を引き出す服を提案
「インク・ルージュ」

(VOL.13)

 
 島根県大田市の駅通り。静かなメインストリートの一角に、オレンジの光を放つ一軒のお店があります。
 そこが「インク・ルージュ」。

 ガラス張りの店内には、都会でしか見つけられない、素敵な服が並んでいます。そのおしゃれ度に圧倒され、入店に尻込みしてしまうかもしれませんが、心配ご無用。

 お店を出るとき、あなたは、これまでにはない興奮を味わっているはずです(筆者もそうでした)。
 
そんな同店の魅力に迫ってみました。
オレンジ光がきれいなインクルージュ
↑駅通りでひときわ輝いている「インク・ルージュ」。夕方から夜にかけての照明は、とてもきれいです。


試着室で歓声があがる店

にぎわう店内


 刺激のない毎日。気持ちが落ち込むような今の世の中…。こんな日常から抜け出したいけど、どうしていいか分からない。そんな人のためにあるのが、この「インク・ルージュ」というお店だ。店自体は、洋服やアクセサリーを販売するブティックなのだが、ただのブティックではない。

「言うまでもなく、ここは洋服を買っていただくお店ですが、それだけではないのです。『ハート』も買っていただいてるんですよ」と、山崎純子オーナー。はて、ハートを買う、とはどういうことなのか、と思っていると、何やら試着ルームの方で歓声があがっている。

「わあ!すてき」「イメージが変わった!」などなど、うれしい悲鳴が聞こえてくるのだ。「あなたも、女らしく変身してみませんか?」。オーナーの笑顔に引かれ、筆者もどぎまぎしながら、コーディネートしてもらうことにした…。

 ↑やわらかい光線に包まれた店内。床もテーブルもカウンターも木なので、不思議と落ち着く。スタッフもあたたかく迎えてくれます。

新しい自分発見!

 いつも単色で、地味めな服を着ている筆者。決してスタイルは良くなく、おしゃれでもない私に、オーナーは、これまで着たことのないような服を選んできた。ちょっとおじけづいている私にオーナーは言う。「まずは着てみて」。

 入るかな?と思った服も、案外すんなり着れて、改めて鏡を見てみると、そこには、これまでとは違う「私」がいるではないか!女性らしく、かわいい雰囲気をかもし出す自分にドキドキしながら試着ルームを出ると、やっぱり「わあ!」という歓声が上がった。店のスタッフだけでなく、来店客にも「素敵ね」と声をかけられる。それだけでもう、無性にうれしくなってきた。

「その姿が、今のあなたの美しさなんですよ」(オーナー)。服が素敵になると、表情やにじみ出る雰囲気まで変わってくる。人って、服ひとつでこんなにも変われるんだ、そう実感した。
筆者変身前
筆者変身後
↑左が変身前、右が変身後。なんだか体型さえも違って見える。びっくりとともに、うれしかったです。


美しさを引き出す職人技

 手先が器用だったり、他人にはできない細かい作業ができる人を「職人」と呼ぶが、その人の長所を引き出すコーディネートを、瞬時に提案できるのもまた、職人芸。「インク・ルージュ」がすごいのは、どんな人に対しても、これができるところなのだ。

 オーナーは言う。「美しさとは本来、その人の心の中に宿っているものです」。若いだけが美しさではなく、容姿が良いことだけが美しさでもない。人の持つ美はそれぞれに違い、それを最大限引き出すのが、私の役目、と話す。

 現に、インク・ルージュの顧客は、若い世代ばかりではない。40、50代のミセスはもちろん、80歳近いの女性もいるという。彼女たちは、年相応の無難な服を求めて、この店にやってくるのではない。これまでとは違う、ひかり輝く自分を見つけるために来るのだ。

「服は、年齢で着るものではありません。その人の持つ感性、気持ちで着るのです」。その言葉どおり、この店であでやかに変身した女性たちは、「年齢」というものさしでは測れない魅力をかもし出している。なるほど、美しさに、年は関係ない。

お店には素敵な服がいっぱい
 インク・ルージュのインクとは「基本」のこと、ルージュとは「流行」のこと。ベーシックな自分を大切にしながら、先端のファッションを楽しむ、という意味でもあります。服はほとんどが1点もの。ゆっくり試着が楽しめるのもお店の魅力です。

人と町に魅力を
オーナーの山崎純子さん

↑オーナーの山崎純子さん。同店の服によって、来店客が素敵に変化していく様子をみるのが、何より幸せなのだそうです。

 店がオープンして2年目。おしゃれになりたい女性たちで、店内はにぎやかだ。しかしなぜ、この田舎町に、このような都会的な店を作ろうと思ったのか。

「私はこの町が好きです。ですから、町の人達も、良い方向に変わってほしい、と願っているんです」。大田市もまた、若者ばなれに苦しんでいる。でもそれは、若者をひきつける魅力が町に足りないから、若者の起業精神をくすぐる何かが欠けているからかもしれないのだ。それを、ほんのわずかでもいいから変えたい。そんな思いが伝わってきた。

 いまでこそオーナーは、人を変えるビジネスに携わっているが、もともとは、自身も一人の客として、これまでの自分を〝変えられた〟経験をもつ。

 それは、ある宝石展示会でのこと。なりゆきで出かけただけのオーナーに、ある宝石コーディネーターが声をかけていた。「あなたに似合う指輪が、たったひとつだけある」。

 宝石に興味のなかったオーナーは、半信半疑でその指輪をはめてみた。と、期せずして、周囲から歓声があがった。「とても似合っている!」。そのとき、オーナーの中で、何かが目覚めた。

 「高級品を売るのが良い商売ではない。その人の『本質』に似合う、たったひとつの商品を選び、それをお客様にすすめるのが商売の真髄なのだ、と思ったんです」。

 当時、服飾関係の店を手伝っていたオーナーは、自分自身がドキドキできる服が、地元では手に入りにくいと思うようになっていた。そこで、必死の思いで資金をつくり、「インク・ルージュ」をオープンしたのだ。

 スタッフの八木さん。お店のディスプレイも担当しています。八木さんもオーナーもとてもファッショナブルなので、ご本人を見ているだけでコーディネートの勉強になりますよ。
スタッフの八木さん


ドキドキを買う

 
 服には流行がある。でも、自分がもともと持つ美しさを呼び起こせば、流行に振り回されることなく、ファッションを楽しむことができる。
「インク・ルージュ」にある服は、安物ではない。でも、お金を払う価値が十分にあるのだ。そう、まさに、ドキドキする「ハート」を買うのだ。

 自分を変えてくれた服を片手に、店を出た筆者。普段はケチな私だが、このときばかりは、お財布がちっともいたまなかった。そして、なんだかワクワクしている自分に気がついた。


Ink・Rouge(インク・ルージュ)
インクルージュホームページへ
代表 山崎純子
島根県大田市駅通り(〒694-0064)
午前10:30~午後7:00 火曜日定休
 TEL 0854-82-1921
ホームページ http://www.ink-r.com
Eメール ink-r@iwami.or.jp


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