山陰の輝く企業にインタビュー



連載
進化する会社、目指すはオンリーワン企業へ。
「(株)フィディア(鳥取県米子市)」
第15回
(Vol.15)

 

  自慢の中国地方一高いところにある避難小屋

(株)フィディア(本社:鳥取県米子市)は、昭和37年(有)福井工務店として先代社長が創立。平成4年に現社名に改称し、現在は福井龍介社長が代表を務める。

ゼネコンから輸入住宅、そしてリフォームの分野まで幅広く事業を展開しているが、フィディアが目指しているもの、それは規模の大小ではなく常に“オンリーワン”であること。

福井社長は幼い頃から父親の背中を見て育った。日本の高度成長期にモノづくりをする父親社長を見ながらカッコいいな、と思っていたのだとか。今でも一番の自慢は、昭和60年優良建設工事として「鳥取県知事表彰」を受賞した、中国地方の最高峰大山山頂に建っている避難小屋。「大山登山をしたときに実物を見たときには感激しました」。

ものすごくダイナミックな工事であったのは想像に十分値する。


福井社長自身、実に“熱い男”で、速戦する行動力、柔軟な発想力は、話を聞いているだけで楽しく元気づけられる。
 

  輸入住宅からヨーロピアンスタイルの生活提案ショップ「ホームデコ」展開へ

フィディアの事業の中で、特に今回紹介したいのは、米子・松江・境港と中海エリアの3店舗を展開する夢のある生活と空間の提案ショップ「ホームデコ」だ。(境港店は今年4月にオープンしたばかり)

フィディアは平成5年に輸入住宅事業を立ち上げた。まずは手始めに、社長宅を輸入住宅にする。自宅をショールームにして広告を出したら、ものすごい数の人が見に来た。
「や~、びっくりしましたよ。山陰では当時まだ輸入住宅を扱う業者が少なかったので、珍しさもあってね。家内にはずいぶん迷惑かけました」

それから構想7年をかけて、住宅というハードからさらにデコレーションというソフトのホームデコをオープンさせる。
「『家はハコ』であり、そこに住む人のライフスタイルに合わせた素敵な生活の環境作りのサポートがしたい」と福井社長は言う。

欧米のモノを大切にし、生活を楽しむ「スローライフ」を提案するショップで、そこは女性も気軽に入れる雰囲気、明るく解放的だ。「ホームデコが何屋であるか、最初はわからず、ホームセンターかなぁと思って入ってこられる方が多い。でも何度か足を運んでもらったら何なのかわかってもらえるはず」

ホームデコ境港店店内。開放的な明るい雰囲気が印象的だ。


確かに、店の前では花の苗を売っていたり、店内ではインポート雑貨を売っていたりするので、おしゃれなホームセンターと雑貨店が合体したようなところもある。しかし「ホームデコ」(=Home と Decollationを合わせた意味)は単にモノを売るだけでなく、庭も含めた家という空間と生活そのものを、あなたのオリジナルでどうぞ、というところ。カタログを自由に閲覧するスペースもあるし、アドバイザーがいろいろ相談にのってくれて、各種のオーダーメイドも実現する。雑貨の販売、リフォーム等、おうち総合相談所&ショールームといったショップだ。

アライアンス(Alliance)の新しい同盟経営スタイル

ホームデコの発想を共有するショップが今全国で6店ある。そのうち3店舗はフィディアの直店舗であと3店はそれぞれ経営者が異なる(富山・広島・兵庫)。このスタイルはあくまで発想を共有する同盟ショップであり一般型のFCではないため、「アライアンス」と呼んでいる。

社員は交換研修などを定期的に体験することにより、勤務店では気づかなかった問題点やノウハウを学ぶことができる。またPR冊子「ホームデコリポート」(季刊誌)を共同で発行している。1社単位ではなかなか経済的に負担のかかる広告宣伝費も、複数店で協力すれば1社あたりのコストを抑えることができるという発想に基づいている。

各店舗の紹介やリフォームの工事例、そしてイギリス通で知られる井形慶子さんのエッセイなどが掲載されたPR冊子「ホームデコリポート」(季刊誌)
 

 

女性アドバイザーが活躍する店

どちらかといえば今まで男性中心のイメージが強かった住関連分野で、積極的に女性アドバイザーを起用。家にいる時間は男性より女性の方が長いはずで、女性が女性の立場になって相談に応じるという試みは成功している。また、受注から工事完了にいたるまでの工程管理は一人の担当アドバイザーが責任を持つので、窓口だけのサービスで終わらないところに、客から安心感をもってもらえるようだ。

これがフィディアの施工力です!
S邸施工前
S邸ベランダリフォーム完了

カルチャースクールスペースを開放

さて、ホームデコ集客術にはこんなおもしろい試みもある。各店舗では何かを教えてみたいという人に、無料でカルチャースクールのスペースを提供している。授業料は生徒が先生に直接払えばいい。かなり太っ腹な企画である。

「授業料や生徒さんの管理をするのは専門でないから面倒。それより部屋が空いている時間に使いたい人が利用し、人が集まってくれればホームデコを知るきっかけ作りができて、店としてはメリットがある」と福井社長。語学や作品作りなどいろいろある中で、今流行のアロマテラピーは人気講座の一つで、授業が終わるとショップでアロマオイルがよく売れるという。なるほど…。

境港店では貸しギャラリー(有料)もあり、現在出展者を募集中。自社主催イベントもゴスペルコンサートや工夫を凝らしたものがあり、フリーマーケットも毎回好評だ。

店の前の砂場では子どもが公園代わりに遊びに来て、結構賑やか。とにかくぶらっと遊びに行きたくなる、それがホームデコなのだ。アンティークの椅子(境港店)に腰掛けて、お茶でも飲みながらのんびりどうぞ、と言われ、「はい、じゃあそうしまーす」と井形慶子さんの本を立ち読みならぬ、座り読みをして帰ってしまった。

境港店、貸しギャラリー。出展者の熱意が伝わってくる活気あふれるスペースだ。

福井社長はここ数年のうちに同盟ショップをもっと増やすのだと、意気込みも相当なもの。ホームデコはやすらぎや癒しを求める今という時代に十分応えたショップ。しかしこれで満足している福井社長ではないはず。フィディアとして、またどんな事業の展開があるのか今後も注目したい。

 

(株)フィディア
代表取締役 福井龍介
設立 昭和37年10月1日
資本金 3,200万円
事業内容 総合建設業、設計・企画業務
鳥取県米子市西福原6丁目19-29
TEL:0859-33-1073
FAX:0859-32-6396
http://www.fidia-japan.com/
fukui@fidia-japan.com

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