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■山陰の元気人! タペストリー作家  陶山千代 さん Vol.0012
夢は自分の感性で勝負をし、世界中で販売すること!
今年で28年目、今までは下準備。これからが本番です。
糸をつむぐ陶山さん 陶山千代さん
陶山千代
・羊毛を素材にタペストリーやセーター、マフラー、コートなどを制作。
・福岡県出身。結婚後松江に在住。
・現在、福岡と松江に「CHIYOウィービングワークショップ」を主催
・松江市上乃木3−6−12
・TEL:0852−27−4004
Profile  
1970年  ・武蔵野美術短期大学工芸デザイン科卒業
1975年 ・川島テキスタイルスクール卒業
1977年 ・秀巧社アートギャラリー(福岡市)にて作品展開催
  ・織りグループ「ファイバー・スペース・フクオカ」結成以降、毎年秀巧社アートギャラリー及び福岡市美術館にてグループ展開催
  ・モダンアート展入選
1978年 ・モダンアート展入選
・ミッチェルデザインスクール講師就任
1979年 ・ヤマハギャラリー(福岡市)にて作品展開催
・オーストラリア政府の招きにより、織りの指導と研究のために渡豪
1980年 ・帰国後、「First Fiber Art」(フィリピンマニラ美術館)展入選
・岩田屋(福岡市)にて「手つむぎ展」開催
1981年 ・織りの指導と研究のため再度、渡豪
・帰国後、岩田屋(福岡市)にて「手つむぎ展」開催
1982年 ・織りの指導研究のため渡米
・帰国後、岩田屋(福岡市)にて「手つむぎ展」開催
1983年 ・ニック(福岡市)にて「手つむぎ展・千代テキスタイル展」開催
・第1回朝日現代クラフト展入選
1983年 ・丸善(東京・日本橋)にて「手つむぎ展」開催
・東京ガスショールーム(東京)にて「タペストリー展」開催
1984年〜 ・東京、福岡、松江、仙台、広島、岡山にて個展開催

未脱脂羊毛(グリージーウール)との出会い

     手つむぎ機
糸つむぎ機 もともと色やデザインを扱うことが好きだったということもあり、自分の感性を生かし、一生やっていける創作活動とは何だろうと模索する中で、"糸"に魅せられウールの基本を学びたいと本場のオーストラリアへ留学。そこで約1年間、織りの指導と研究を行いました。

その際に、羊から刈り取った原毛を洗うだけで脂肪分を抜かない"未脱脂羊毛"があることを知り、そしてある日、日常の手仕事として羊の毛を紡ぐ老女の姿を見つけ、「これだ!」とひらめいたのでした。


未脱脂羊毛(グリージーウール)の特徴
未脱脂羊毛
 未脱脂羊毛は人間の体毛に近い性質を持つと言われており、肌にもやさしい。その原毛を、感触を確かめるために少し触っているだけで、カサカサだった指先もとしっとりしてきます。                                        

 未脱脂羊毛は文字通り、脂分を抜いていないので、素材そのものが丈夫で、汚れがつきにくく、保温性、保湿力、防水性に優れています。素材のよさが残っているだけに虫もつきにくいです。
 
 汚れにくい素材なので、ほとんど洗わなくてもよいですが、洗うときは手洗いをします。脂分が残っているためクリーニングには出しません。大切に着れば100年は着れるので、祖父母から子孫まで着継がれるなんていうのも、とても素敵ですね!

創作活動

 タペストリーとは綴れ織り(つづれおり)またはゴブラン織りなどと呼ばれる技法による室内用壁面装飾織物。その制作期間は手のかかるものだと1年以上かかります。

 オーストラリアやニュージーランドから未脱脂の原毛を輸入し、普通の洗剤をつかい手洗いで汚れだけを落とします。脂分が抜けきらないよう、臭いが残らないよう洗いあげます。

 オーストラリアでは羊を輸出用に飼育しているため、羊用のシャワリング施設があるので、輸入した時点でも原毛はきれいです。羊一頭で4〜5sの原毛がとれます。セーターですと4〜5枚分です。

 羊は一頭一頭違うので、その羊の毛質によって用途を変えますが、フェルトやカーペットまで作れます。

 ちなみに牛、猫、犬の毛は臭いが残りますが、羊の原毛には臭いはほとんどありません。犬の毛で糸を紡ぐこともできます。不思議なことに犬の毛は年毎に白くなっていきます。
 左下の写真は犬の毛をつむいでいるところです。
犬の毛をつむぐ陶山さん  
 染色方法は紡ぐ前に染める先染めの手法です。原毛は羊の種類によって色彩がとても豊かです。紡ぐ前に染めるので、一つの色でも何万と言う色のグラデーションが生まれ、二つと同じものはありません。タペストリーの生地のアップ

 タペストリーに使う糸を紡ぐときには、もちろんデザインが先ですが、織ったときそのデザインになるように「ここから何センチのところに何センチの何色を・・・」など、考えながら紡ぎます。

 デザインを考えるのに時間がかかりますが、それが決まってから、色を決め染色をして紡ぐ、そこまでがだいたい仕事の7割です。

 年間のスケジュールはだいたい2年前位から決まっているのでそれに合わせて制作活動をします。年間400点くらいのペースで、毎年開催する4ヵ所ぐらいの作品展で販売をしています。あとは注文をいただいて作ります。

タペストリー          タペストリー
玄関マット    玄関マット
制作中のコート制作中のコート 編んだセーターはほどけるので、何度でも織りなおしがききます。
白いセーター 赤いセーター

高齢化が進む川本町の生きがい対策

 現在、川本町の国道261号線沿いに建つ「インフォメーションセンターかわもと」の中に、手つむぎ工房ショップの「ダ・カーポ」があります。そこでは町民の方たちが手つむぎで作られたセーターや帽子などの作品が展示即売されており、好評をよんでいます。

 ことの始まりは、当時川本町で公民館長をされていた百田さんからの発案でした。そもそも川本町では農家で牧草地の雑草処理のため羊を飼っていましたが、その羊の毛は刈り取られた後は捨てられていました。

 そこに百田さんは目をつけ「お年寄りたちの生きがい対策になるのでは」と考えたのでした。こうして百田さんの働きかけで地元の羊を利用した、高齢者の生きがいと心の健康対策として「手つむぎ教室」(1995年〜)が開かれることとなりました。

 初めは講師として月に一度程度通っていましたが、今は2ヵ月に一度くらいのペースです。最初は町内の15人だった生徒も「ダ・カーポ」への来店をきっかけに入会する方などもあり、その数は次第に増え今では35人になりました。

 そのメンバーも広島や、浜田、平田在住と様々で、年齢層も幅広く30代〜80代。まさに手つむぎを通しての世代間交流であり、様々な年代の人たちと共通の楽しみを通して色々な話ができたり、社会参加ができたり、それが生きがいとなり心の健康へとつながるのですね。なにより生徒の皆さんが一番いきいきしています!

余談ですが・・・
羊と山羊
 羊や山羊との触れ合いには、人の不安感を解消し、リラックスをさせる癒し効果があるそうです。また、羊や山羊は人と共通の感染症が少なく安全で、犬と同様のアニマルセラピーとしての要素があるそうです。


■これまで掲載してきた記事

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