山陰の輝く企業にインタビュー |
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連 載 |
The spirit of a true workman 職人の魂が作り出すオーダーメイド家具の製造販売
有限会社ウッドスタイル |
第36回 |
オーダーメイド家具の会社「ウッドスタイル」。起業してから一年未満にもかかわらず、着実に仕事を取りつつある理由には“職人魂”ともいえる、木の魅力を存分に活かした技があった。 社内最年少の西村幸平社長が、そのこだわりを熱く語ってくれた。 |
![]() 【今回の元気企業】有限会社ウッドスタイル。 西村幸平社長。 |
![]() 西村社長が信頼を寄せる職人さんたち。腕はぴか一。 |
「仕事ができなくなる」
2004 年の 6 月、木工家具会社の営業で全国を奔走していた当時、それは突然だった。会社が二度目の不渡りを出したため、仕事を続けることが出来なくなった。「どうしようか、と思いました」と西村社長。しかし、ご自身はなんとか一人でもやっていけるだろうと思っていたので、特には動じなかったという。そんな西村社長に声をかけたのが、当時一緒に働いていた大先輩の職人さん達の中の八人だった。
「お前が社長をやってくれたら、俺たちが家具を作る」と背中を押されたのだ。
当時から顧客の多くは、その“職人技”に惚れ込んでいたことを知っていたこともあり、「この技を、ここで絶やすのはもったいない」と、社長業を引き受けた。ある程度、会社の状況も把握できる立場にあったため、「約 2 年分の仕事はある」と踏んでいたことも決心した理由の一つ。
心機一転、新たに工場物件を借り、 2004 年 10 月、「有限会社ウッドスタイル」を設立。が、しかし。蓋を開けてみると、当てにしていたその仕事は、ほとんど無かった…。
![]() 出荷を待つ製品 |
それまで、全くと言っていい程、“経営”に関しては興味が無かった。設立後 3 ヶ月はほとんど仕事が無く、不安な日を過ごした。ただ、「いつ仕事が来てもいいような準備は常にしていました」と、西村社長は経営の勉強、助成金などについて、職人さんたちは道具の手入れや工場の整備などをやりながら、“その時”を待っていた。
その後、徐々に仕事が来るようになったのは、以前の会社の時に取引のあったお客さんが、西村社長達の旗揚げを聞きつけてのことだった。社長自身「物作りの楽しさを知っている人達。それぞれの腕がすばらしい」と信頼を寄せる技は、同じように客先にも認められている。職人さんたちの“いい仕事”にお客が着いているのだ。
その後、仕入先から新しい客先も紹介してもらうなど、周りの支えも出来てきた。また、社内の経営状態も職人さんたちと共有し、オープンな経営に徹している。何よりも「社内では最年少ですから」と言う西村社長は、職人さんたちから可愛がられているのが信頼されている証かもしれない。
![]() 携帯電話の展示棚は好評の一品(取材協力:auショップ松江学園北店) |
オーダーメイド家具の良い所は、状況に応じた寸法で設計できるところ。既製品では出来ない、スペースの活用が出来るところだ。そして、ウッドスタイルの家具の特徴は「もう一工夫」されたところ。
例えば、猫トイレ付シューズボックス。収納に困る猫のトイレ。急なお客さんの時など、片付ける場所がなく、ついあたふたしてしまいがち。しかし、ウッドスタイルではシューズボックスの隣に設置することで、猫のトイレを“おしゃれ”な一品に変えてしまった。「猫の室内トイレ」は砂が飛び散らず、飼い主も大喜び。猫砂や餌を収納できるスペースも設けている。
オーダーメイド家具の利点はなんと言っても、お客の理想を形に出来ること。難解なリクエストにも、経験溢れる職人技がそれを叶えてくれる。
![]() 小学生用の机と椅子の試作品 |
「今は、仕事を取り続けないといけない状態」と話すように、経営上はオーダーメイドゆえの課題もある。ある程度、標準品的なものも用意し、安定した受注体制を作ることも、次なる課題でもあるということだ。
そして、西村社長が次に目指すもの。それは、島根の子供達に、もっと木に触れてもらうこと。
「例えば、島根の木を使って製作した物を、島根の小学校などで使ってもらうことですね」
そして、休日などは工場の一部などで「日曜大工の場」として、子供達に木と触れ合う場をつくる企画も考案中だという。場所確保や清掃など、準備の段階で課題が山積しており、なかなか実現できないと言う話だが、「マンションに住んでいる方だと、なかなか木工作業は出来ないですよね。一つの作品を作ることで親子の絆なんかも出来るだろうし、何よりも“木の暖かさ”に触れて欲しいですね」
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