山陰の輝く企業にインタビュー
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山陰の元気企業

このコーナーでは、山陰でがんばる企業を紹介しています。やる気あふれる企業を取材。そのビジネス魂をお伝えします。

連 載
本物志向の安全な食品づくりを貫く

日本食品工業株式会社

第27回

ふた夏(約2年間)かけて天然醸造される丸大豆しょう油。そして、かつお節の風味やこんぶのコクを独自の製法でブレンドするだしの素…etc.日本食品工業㈱の製品は、一般小売店の店頭に並ばないため、広く知られているわけではありません。その多くが宅配部門を 通して、全国の自然食品愛好家や本物志向の人たちに、直接送り届けられるからです。

今回は、境港市に本拠地を構える日本食品工業㈱を訪ね30数年以上も前から、“安全でおいしい”食品づくりと真摯に向き合っている企業の横顔を取材しました。

日本食品工業商品ラインナップ日食の商品ランナップは丸大豆醤油を代表とする”だし”、”レトルト食品”、そして”飲料・お菓子”と多岐にわたります。これらの商品、誰もが一度は見かけたことがあるかも!?

毎日使う調味料こそ安全でおいしいものを

日本食品工業㈱の調味料は、「この味と出会ってしまったら、もう浮気はできない。」と、多くのファンから永く親しまれています。その理由は、“急がず、ごまかさず”。原料の持つ自然の味をていねいに、そして最大限に引き出す製造プロセスを大切にしているのです。

数ある定番商品の中には、フリーズドライ製法の「即席みそ汁」も。お湯を注ぐだけで本格的な味が楽しめるとあって、国内はもとより海外からも取り寄せる顧客が多いと伺いました。

「毎日使う食品だからこそ、安全でおいしいものを提供したい。原料にこだわっているので、大量生産は難しいでしようね。」と、中西和夫社長(三代目)は語ります。

代表取締役社長 中西和夫さん。 代表取締役社長の中西和夫さん。

自然の生命力にみちた食品を摂ることが、人間らしく生きる原点

21世紀に入り、食品業界では消費者のニーズに応えるように、食べものの『安全性』や、『原料重視』を強調しています。でも、日本食品工業(㈱)では、日本中が高度経済成長にわいていた昭和30年代から、本物志向の食品づくりを見つめてきたのです。そのことは丸大豆しょう油の誕生エピソードに表れています。

「当時、創業者(中西秀夫)は鳥取県食品加工所の所長をしており、“しょう油は丸大豆で作るべき”というのが持論でした。講演で県下をまわるたびに丸大豆しょう油の良さを説いていましたが、その頃のしょう油業界は“脱脂加工大豆”の全盛期。丸大豆で昔ながらのしょう油を仕込むという創業者の主張は、いつも冷笑で迎えられていたのです。しかし、その中で唯一現われた賛同者が、島根県浜田市でしょう油醸造を行っていた濱﨑光男氏でした。その後、数多くの失敗をくり返しながらも、創業者と濱﨑氏の共同作業で“丸大豆しょう油”はようやく完成したのです。」

昭和44年10月、丸大豆しょう油の本格生産を機に、日本食品工業㈱は設立されました。丸大豆しょう油の醸造に尽力した濱﨑光男氏は、同社の工場長として現在も活躍されています。
「丸大豆そのものの味を引き出す製法は、職人の英知と魂が生み出したもの。昔の人は、自然の生命力にみちた食品を摂ることで、健やかに人間らしく暮らしていたのだと思います。当社の製品を受け入れてくださるお客様は、食を通して健やかでありたいと願う姿勢に共鳴してくれているのではないでしょうか。」

おだやかに語る中西社長ですが、その言葉からは時代の流れに迎合しない強い意志が感じられます。

 
■EM菌普及に向けての取組み

同社では、“安全な食品づくりは作物の生産現場から”と、化学肥料や農薬の代わりに自然界の菌を用いた農業の普及活動も行っています。琉球大学農学部の比嘉照夫教授によって開発された“EM菌(Effective Micro-organisms・有用微生物群)”をもとに乳酸菌や酵母菌などの働きでバランスのとれた土壌を作り、元気な作物を栽培するという試みです。

日本食品工業(㈱)では、このEM菌が発売された平成元年当初から、代理店として普及に関わってきました。現在、EM菌で栽培する生産者のネットワークも広がりをみせ、安心できる農産物づくりの一翼を担っています。

 
■こだわりの食を宅配事業で

日本食品工業㈱の製品は、顧客への宅配や関西・首都圏の自然食品業界の販路を通じて全国へ届けられています。地元では“知る人ぞ知る存在”とあって、直接、事務所に買い物に訪れる人も少なくありません。東京・大阪などでの食品見本市などに参加するほかは、特に広報活動に力を入れていませんが、製品の美味しさは口コミで広がっているのです。

「これまでは調味料を中心に基盤を築いてきましたが、今後はその蓄積を生かし、新たな商品開発なども手がけていきたいと考えています。地元や他県の生産者さんや加工食品会社と連携し、“こだわりの食”を境港から発信していきたいですね。」と、中西社長は抱負を語ってくれました。

派手さはなくても、職人の魂を吹き込んだ食品に誇りを持って送り続ける日本食品工業㈱。食の大切さが叫ばれている今の時代、もっとも消費者に近い存在といえそうです。

代表取締役社長 中西和夫さん。鳥取県境港市にある日本食品工業株式会社の本社。全国にいるお客様のニーズに応えるため本日もフル稼働しています。
 

■過去ログ(これまで掲載してきた記事です) ■今回掲載した企業


社名
日本食品工業株式会社
住所

鳥取県境港市竹内町639

TEL
(0859)44-0218
FAX
(0859)42-6456
メール
nissyoku@nifty.com
URL
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