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このコーナーでは、山陰でがんばる企業を紹介しています。やる気あふれる企業を取材。そのビジネス魂をお伝えします。

連 載
食と文化の交差点、「丸京庵」 4 月 25 日オープン!

和菓子の丸京製菓株式会社

第23回

和菓子製造の丸京製菓(米子市)が初の直営店「丸京庵」を間もなく米子灘町に開店します。

ここは単なる菓子店にあらず。来店客に「どうぞ試食してあなたの意見を聞かせてください」という新しい形のアンテナショップです。さらにギャラリーなどの多目的に利用できるスペースもあるというから、ぜひ一度足を運んでみましょう。

大きなビジョンを掲げ、自社ブランドの和菓子で全国販売を目指す丸京製菓の取組みを紹介します。

丸京製菓株式会社スタッフ
次々と新しい企画を打ち出し、 2010 年までのビジョンに向かって、今着実に売上を160%ペースで伸ばしている丸京製菓。


■“おいしくて楽しい”空間を目指して

もうすぐ米子の下町に和菓子と人を結ぶ新しいスポットが誕生する。

4 月 25 日オープン予定の「丸京庵」。丸京製菓 ( 株 ) 初の直営店で、ショップと、気軽に誰でも立ち寄れるようなコミュニティスペースを兼ね備えているというから、どんなところかと今から開店が待ち遠しい。米子の人なら一度や二度スーパーに並んでいる丸京の和菓子に目がとまったことだろう。なんといっても看板商品はどら焼きだろうか。素朴で、手ごろ感のある和菓子に、つい「目が欲しがって」しまうものである。

「ご来店の方と共に、日本全国に通用する和菓子を作りたい――」

「丸京庵」では菓子の販売のみでなく、菓子教室や貸しギャラリーなど、さまざまな企画イベントを通じて市民と触れ合い、と同時に和菓子の試食コーナーで積極的に来店者の意見を聞きながら、商品開発&リサーチの場として活用するという。今オープンに向けての準備が着々と整いつつある。

丸京庵
まだ開店準備中につき、内部をお見せできないのが残念。 4 月 25 日にオープン予定。早速ギャラリーで企画展も開催されるようです。詳しくは丸京製菓にお問い合わせください。

■『丸京ビジョン2010』

さて、会社としての丸京製菓を語るとき、まず驚かされるのは米子市旗ヶ崎の食品工業団地内に平成 14 年に総工費 15 億円をかけてつくった本社工場のすばらしさだろう。中海に渡来する白鳥の羽をイメージしたというアーチを描いた白く美しい建物だ。

玄関の扉を開けると、「いらっしゃいませ!」と元気な声が一斉に鳴り響く。あいさつ・礼儀日本一の会社を目指すという社員十ヶ条の姿勢がしっかりと守られ、とても気持ちがいい。

すぐ目の前に中海が広がる開放的で明るい社屋。そして HACCP ( 総合衛生管理製造過程 )対応の衛生管理システムと、最新鋭の設備が整った工場で和菓子は生産され、ここから全国へと発送される。

この近代的な本社工場と、C I 戦略よる新しいロゴやコーポレートイメージの改革は、現鷲見浩生社長が 2001 年に発表した、 10 年間の事業計画と売上・利益計画に綿密に記された、「丸京ビジョン 2010 」に基づいている。 2010 年には売上高 100 億円、経営利益 10 億円を目指すという壮大な計画なのである。

本社工場
平成 14 年に完成した丸京製菓株式会社本社工場。すぐとなりは中海という素晴らしいロケーション。清潔で機能的な工場を見学することも可能。

本社内部
開放的な事務スペース。明るくてとても綺麗で来客からもよく見えます。皆が一斉に挨拶してくださるのでとても気持ちがいいです。

■機械から食品まで 連鎖倒産の危機を乗り越え、実績づくりの苦労を重ねて

しかし、 2001 年を経営拡大の新たなスタートラインとした丸京製菓の道のりは、決して順調で平坦なものではなかった。

創業は 1958( 昭和 30) 年。製餡会社から和菓子メーカーへ、日持ちのする和菓子を柱に全国のスーパー、コンビニマーケットへと飛躍的に事業を展開する。競争の激しい東京地区にも販路を見出したというのは、商品力があってこそと言えるだろう。

ところが、全売上の 4 割を占めていた大手の菓子問屋が倒産し、その売上を失うという事態が起こった。連鎖倒産の危機を瀬戸際でなんとか食い止めたのは、東京地区の販路開拓のときの努力だ。力を振り絞って販路拡大に全力投球し、さらにスーパーやコンビニの PB 商品 ( プライベートブランド ) 生産へと転換してなんとか乗り切ったという。

鷲見社長は社長に就任した 1996 年に経営計画を発表し、温めていた新工場建設のため融資を銀行に申し入れるが、銀行は簡単に首を縦に振ってはくれなかった。 3 年間計画どおりにビジョンを遂行できれば「融資を前向きに考える」という銀行の言葉を信じ、無我夢中で 3 年間実績づくりに励み、目標の利益を達成する。しかし、それでもまだ銀行を説得するには至らなかったという。

風向きが変わったのは、具体化した「丸京ビジョン 2010 」を鳥取県がベンチャー支援プログラムの助成事業として認可してからだ。いわば県のお墨付き=『信用』を得ると一気に資金調達や土地のリース問題などが解決する。

商品群
丸京製菓の商品群は、美味しいだけでなく 見た目の美しさ にこだわりを持っており、 これが丸京製菓の商品の大きな特徴です。
“ブランド力”=“信頼”=“人”

「お客様に安全でおいしい商品を提供できれば、それは確かなブランドになる」

丸京製菓は戦略面でPB生産に頼るばかりでなく、徐々にNB(ナショナルブランド)メーカーとしての転身を図ろうとしている。饅頭やどら焼きなど手ごろな価格帯でスタンダードな和菓子の、購買ターゲットはスーパー等で買い物をする主婦層。しかし若い人にも気軽に手にとってもらえる商品開発のマーケティングには力を注ぐところだ。そのため社内での商品企画の中心は、やはり消費者と同じ気持ちになれる女性社員ということになる。

「担当セクションのトップも女性で、『○○には絶対コレです!』ってハッキリ言われてしまいますから、女性社員の意見は絶対的です ( 笑 ) 」と鷲見雄司専務。菓子の購買層の大部分が女性というマーケットの実情を踏まえれば、これもまた当然のことだろう。

丸京製菓の社内の名物行事をひとつご紹介しよう。

「社長塾」と称する鷲見社長自身がビジョンを語る社員向けセミナーである。正確にはその中身は目的別4つのカテゴリーに分かれている。「企業は人なり」の基本姿勢で会社の業務のことから日本経済のことなど様々なテーマで語られ、意見交換などもある。

その中の「ミニ社長塾」は自由参加による月一回のセミナー。参加者の 7 割はパートを含む女性社員が占めるそうだ。社長のビジョンに社員も共感、思いを共有できれば、ひとりひとりが経営に参加している意識が高まるに違いない。

社長塾
「社長塾」はこうして行われる!?壇上でスピーチをしているのが、代表取締役の鷲見浩生社長。若きリーダーの話に皆熱心に耳を傾けています。

次々と新しい企画を打ち出し、 2010 年までのビジョンに向かって、今着実に売上を160%ペースで伸ばしている丸京製菓。今年も、そしてさらに来年もその次も、目標が公のものとなっている以上は、それに向かいひとつひとつ達成していくのだろう。この勢いで、全国の菓子市場を、米子の町を、スーパーを、そしてエンドユーザーである消費者の私たちをも、きっと驚かせ元気にしてくれるにちがいない。

■過去ログ(これまで掲載してきた記事です) ■今回掲載した企業


社名
丸京製菓株式会社
住所

鳥取県米子市旗ヶ崎 2002-2

TEL
(0859)33-0633
FAX
(0859)33-4543
メール
info@marukyo-seika.co.jp
URL
http://www.marukyo-seika.co.jp
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