山陰の輝く企業にインタビュー
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山陰の元気企業

このコーナーでは、山陰でがんばる企業を紹介しています。やる気あふれる企業を取材。そのビジネス魂をお伝えします。

タイトル

 子どものような純粋無垢で空想的なアイディアを基に数々の夢をカタチに変えてきた、ドラえもんポケットのような会社。

 この会社を、一言で語るのは難しい。おおまかに「オリジナル機械」と「食用コラーゲン」。一見相反する2つでも、ちゃーんとそれに至るワケがあったのです。

 「やるからには人に喜んでもらえる仕事」と、「なせばなる」の精神の持ち主、カンダ技工の中山社長は穏やかに語ってくれました。

有限会社カンダ技工
有限会社カンダ技工の代表取締役、中山清さん。
不可能な事を可能に限りなく近づける努力と技術はさながら現代の錬金術師。「やるからには人に喜んでもらえる仕事」と、「なせばなる」の精神の持ち主。


■勤め先はなぜかいつも倒産、ならばと起業

 「なんでだろう?」-
 中山さんは大学卒業後県内外で過去2回就職した経験がある。しかしなぜか2社とも大手にもかかわらず倒産してしまう。会社に対して不信感を持ったまま3度目の正直、とはならず、方向転換して大胆にも職種未定のまま自己創業の道を選んだのが今日の始まり。
 
 しかし世の中そんなに甘くない。素人で機械修理の仕事を創めるも、売り込み営業が苦手で仕事を思うようにとってこれない。夜はトレースの仕事をしたり、あらゆる内職をして食いつないだという。とりあえず3年間は頑張ってみよう、それで駄目だったらまた就職すればいいんだからと。
 「とにかく当時は貧乏でしたから、家内の実家でよく食べさせてもらいました(笑)」

 「石の上にも3年」ということわざどおり、地道に頑張っていればなんとかなるもので、事業も徐々に軌道にのりはじめ、転機がおとずれたのが3年目。
 たまたま見学した食品工場で、ステンレスの需要拡大を見込めると確信すると、中山さんは食品機械設備とステンレス加工への挑戦を開始する。

  「今でこそ、食品メーカーは衛生面に敏感。でも昔はゴミのひとつやふたつ入って当然という考えだったんですよ。ちょうど錆びた鉄くずが製品に混ざらないよう、ステンレスが注目され始めの頃だったから、これは食品関係ならどこでもいけるんじゃないかなと思いましたね」
 これがまさしく的中して、以後数多くのステンレス加工とオリジナル機械設備を製作することになる。

カンダ技工本社工場
カンダ技工本社工場。

未利用資源事業部
コラーゲン90%水溶液を製造している未利用資源事業部。
■依頼は断らない! 柔軟な想像力で必ずカタチに

 「いろんな失敗をしていると、ぎりぎりのところでどんどんアイディアって出てくるものなんだね」

 化け学が専門だった中山さん、モノなら何でも化学反応のように「変化する」「変化させられる」はず、まんが的な発想があれば「できんことないでしょ」というのが持論だ。

 確かにまんがの世界なら、ドラえもんみたいに何でも不可能を可能にしてくれるだろう。昔のまんがの世界で描かれた空想の未来型ロボットだって、現実のものとなっているものもあるわけで、それらに限りなく近づくビジネスに取り組むのがカンダ技工だ。顧客の「こんなのできんかな?」が、単なる思いにとどまることなく「できるかも・・・、できた!」となるためにいろんな角度で考えて、結果的に「夢」を現実の「カタチ」にしてきた。だから、業務も単一的なことにとどまらず、可能性がある限りどんどん広がっていくのだ。

製造ライン
米子市水産加工工場へ納入された製造ライン。このような創造的な製品が他にもいろいろな企業に納入されています。
■機械から食品まで

 カンダ技工が食品会社の機械設備を製作する中で、中山さんはラインからはじき出される「ゴミ」に着目する。
 加工工場で毎日大量に出る廃棄物――野菜やさかななどの製品に使えない部分の、いわゆるゴミ。しかしこれらも実は有機物のかたまりで、中山さんはなんとか再利用できないかと考えた。

 「自然の恵みは循環させてこそ生活が維持されると思うんです。安易に何でも捨ててきたツケは必ずいつか自分たちに返ってくるはず。地球資源に感謝して、使うなら100%使いたいと思った」リサイクルを口にするのは簡単だが、自分がやらなければ、どうのこうのと言う資格はないと中山さんは言う。

 現在製造販売している「コラーゲン」。タイのうろこから抽出した良質のフィッシュコラーゲンを特殊加工で液状と粉末にした製品だ。消化吸収が非常によく、プロリンという皮膚に潤いをもたらす成分が動物性のものより多く含まれているそうで、健康維持や美容にいいとリピート購入も多い。「アトピーの原因になるような、口に入れて害になるものは一切入れないで純粋にこだわった」という点も中山さんの職人気質を感じる。
 今この商品の販路をさらに広げるとともに、次なる健康志向の食品を開発中で、中山さんの好奇心あふれる発想はとどまることを知らない。

 仕事については、
「景気が悪いからといって、あせってはダメ。それまでに経験したことに、より力をそそぐほうが前向きだと思いますよ。すべては経験の積み重ね。学校を出たからと言ってすぐに仕事にはなりません」

コラーゲンペプチド(粉末)
これが「コラーゲンペプチド(粉末)」。これをもとにして様々な商品(下記)が作られます。


手軽に使える粉末タイプの「KANDAコラーゲン」。
■結果を残せば・・・
 そして「町医者のようでありたい」と中山さん。人の役にたって喜ばれる事業、そしてなにかあればすぐに駆けつけ常に顧客に安心してもらえるきめ細かなサービス。創業から26年たった今でも営業ベタだとはにみながら、「結果を残せば、結局お客さまが一番の営業マンになってくれますね」――カンダ技工の技術と研究に各界が注目し、多忙な毎日を送る中山さんだが、ホッとするのは休日に見る、世界を紹介するテレビ番組。

  自称人一倍好奇心と感受性が強く、おまけに涙もろい男。実は何気にテレビを見ながらも常に新鮮な感動を味わい、仕事のヒントを探しているらのかも!?

■過去ログ(これまで掲載してきた記事です) ■今回掲載した企業


社名
有限会社 カンダ技工
住所
〒683-0852
鳥取県米子市河崎1008番地1
TEL
0859-29-3538
メール
gkanda@orange.ocn.ne.jp
URL
http://www.kandagiko.com/
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